BSCの4つの視点のなかでも最も重要なものが顧客の視点です。
「どうすれば顧客に喜んでもらえるか?」これが顧客満足の出発点です。
ところで、この顧客満足ですがパラダイムシフトが起こり、以前のそれとは大きく変わってきたと思われます。それなのに、以前の考え方のままの企業や経営者がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでいくつかの切り口から、顧客満足に対する従前の概念とパラダイムシフト後の概念を比較してみることにします。
売上至上主義は、どのくらい売上高を増やしたかに着目するわけですから、安い商品・売れ筋商品を大量に仕入れ、あるいは生産し、競合他社よりも少しでも多く売上高を上げようとします。
それに対して、顧客中心主義の方は、リピーターである顧客を何件(何人)増やせたかに着目します。いかにして、商品・製品・サービスによって快適さを提供できるか、その結果として、提案を受け入れてくれる生涯のパートナーを作ることを目指します。
売れ筋商品・製品を重視した売上至上主義の徹底は、商品・製品のロス減らしを重視して少しでも市場シェアを獲得すべく、すべての顧客に平等に販促費をかけます。
一方、顧客の識別を行い、多頻度来店・受注顧客を獲得・維持しようとするならば、顧客のロス減らしを重視し、優良顧客に集中して販促費をかけるようにします。
いわば顧客の棚卸しともいうべき顧客情報の収集が重要です。
優良顧客をグループ化して囲い込み、販促費・提案のための開発費を集中投下し、特別な特典と個別な提案を提供し続けることによって、他店・他社に離れていかないように育てます。
販売促進は市場シェア拡大のための売り込む仕組みを作って、一方的な押し込み型の大量集中販売を行います。
購買促進は需要創造のための買ってもらえる仕組みを作って、生活シーン・企業活動現場の改善提案による適量・適時型推奨販売を行います。
「サービス」は購買者の目的に対してその内容や質を保証するための行為で、「おまけ・無料」という意味に使われます。値引きや顧客への便宜を図ることが基本です。
「ホスピタリティ」は継続して取引してもらうための満足を保証する行為で、「もてなす」という意味で使われます。「おもてなし」を基本として顧客に満足を与える行為です。
「マニュアル型販売」はきびきびした動作はできるものの、おなじみのサービスやおきまりの言葉に縛られ、思考力が欠如、画一的サービスで効率化を追及します。
「思考型販売」はいきいきと行動することができ、気配りや思いやりを重視し、相手の立場になり声をかける双方向型経営によるホスピタリティ精神で顧客満足度を優先します。
全てに共通して言えることは、軸足が企業側にあるのか顧客側にあるのかの違いといえるでしょう。企業利益を優先して考えてしまう経営と、あくまで顧客利益を優先して考える経営の違いです。以前のような建前だけの顧客満足では成り立たなくなってしまいました。
社員の一人一人が主体性を持って思考を伴った行動を起こさなければ顧客満足を得ることなどできなくなったのではないでしょうか。
1. 信頼性 | 正確さ、間違いなさ、納期限が確実 |
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2. 迅速な対応 | 待たせない、すぐ反応する、てきぱき処理、タイムリー |
3. 適格性 | サービスを行うための知識技能が十分 |
4. アクセス | 頼み易さ、いつでもすぐ連絡がつく、すぐ電話に出る |
5. 態度 | 礼儀正しい、敬意、気配り、感じのよさ、服装 |
6. コミュニケーション | 顧客の言い分を良く聞く、分かり易い説明 |
7. 信用度 | 会社が信頼できる、担当者が信用出来る |
8. 安全性 | 身体的安全、財産的安全、秘密保持性 |
9. 顧客理解度 | 顧客の真に求めるものをつかむ、事情をよく理解して満足させる |
10. 有形性 | 快適な環境、施設、設備、備品、消耗品、用具、計算書 |