遺言がなかったために、相続人のあいだで遺産をめぐってトラブルが起こる・・・。
そんな例も、実は少なくありません。
残されたご家族がスムーズに遺産を受け継ぐために、また、ご意思に即した財産の分配を行うためにも、大切な役割を果たすのが「遺言」なのです。ご意思どおりのキチンとした遺言書を作成しておくことは、自分を生かし、相続人の負担を軽くすることにもつながります。
この「遺言書」に関して、法改正があったことをご存知ですか?
2020年7月10日から 【法務局における自筆証書遺言書保管制度】 が始まりました。 |
この制度を利用するメリットを知り、ご自身の財産とご家族をどのように守ることが出来るのか、この機会に見直してみませんか?
まずは、遺言書の役割とその効用を簡単に確認しておきましょう。
1 遺産争いを防げる
残された家族が相続をめぐってもめることは、誰にとっても本意ではありません。遺言書によって誰にどの財産をあげるかを指定することで、遺産争いとなるのを防ぐことができます。
2 相続手続きの負担を減らせる
一般的に、相続手続には半年から1年程度かかります。
ご家族が多忙な中、手続きに費やす手間を省き、手続き期間を短縮することができます。
3 家族の生活を守れる
残されたあなたの大切な人の生活を、遺言書によって守ることができます。
例えば、もし法律どおりに遺産を分けると、あなたと同居していた人が家を追い出されるような場合、自宅を相続させるように遺言することで相手を守ることができます。また、学費や生活費を必要とする人がいる場合は、遺言書によって確実に財産を残すことも可能です。
4 気がかりを解決できる
遺言書によって、それぞれのご家庭の事情を考慮に入れて財産を受け継ぐことができます。
例えば、子供が海外に住んでいる、音信不通であるなどの事情に配慮した遺言をすることで、トラブルを防ぐこともできます。あるいは婚外子の認知をしたり、相続人から排除したい家族がいる場合などにも有効です。
また、血縁関係の如何に関わらず特別にお世話になった方に財産を遺贈したり、特定の自治体や福祉施設への寄付をすることも可能です。
では、どのような遺言書をつくればよいのでしょう?
具体的に見ていきましょう。
① 一番の「気がかり」を優先する
なぜ、遺言書をつくろうと思ったのでしょうか?
財産を受け継ぐにあたって、「気がかり」なことは何でしょうか?
一番大切なのは、その「気がかり」を解決することです。
② 家族がいまの生活を続けられるようにする
あなたがいなくなることで、生活に困る家族はいませんか?
例えば、同居している人に自宅を相続させるとか、経済的な面倒を見ている相手に預貯金を残してあげるといったこともできます。
③ 不動産はなるべく共有させない
不動産の共有は可能な限り避けることをお勧めします。
当面は問題がなくても、将来相続人が結婚したり死亡したりして相続関係が複雑になった場合、不動産の売却や維持管理をめぐるトラブルが起きやすくなります。
④ もらった相手が困らないか考える
相手の生活を考慮して、相手が困らない相続をさせるよう留意する必要があります。
例えば、都会に暮らすこどもに田舎の不動産をあげても、維持費用がかかるだけで困ってしまうという可能性もあります。
⑤ 遺留分に配慮する
特定の人に多めに相続させる場合、なるべく他の相続人にも遺留分にあたる額を相続させたり、生前贈与などでバランスを取ると良いでしょう。
⑥ 相続人に公平感を与える
これまでの人間関係や援助額などを踏まえて、ふさわしい額を相続させましょう。公平感を与えることで争いが起きにくくなります。「付言事項」として、そのような遺言をした理由を書いておくことも大切です。
⑦ 相続税についても配慮する
平成27年以降は相続税の基礎控除額が縮小され、これまで税金がかからなかった家庭でも課税されるケースが出てきました。財産を相続した人が高額な税金を払わなくても済むよう配慮しましょう。
今抱えている「気がかり」は明確になりましたか?
人それぞれ、ご家族を取り巻く事情は異なるものです。
分からないこと、心配事があればお気軽にお問合せ下さい。
サービス内容 | 金額(税抜) |
---|---|
財産目録作成 | 30,000円~ |
自筆証書遺言の作成指導 | 20,000円 |
ところで、
【自筆証書遺言】ってなに・・・?
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
遺言には、文字通り自ら自筆する【自筆証書遺言】と、法律の専門家である公証人が作成する【公正証書遺言】があります。自筆証書遺言は手軽でコストもかからない反面、デメリットもありました。
2020年7月10日から始まった、 【法務局における自筆証書遺言書保管制度】の利用により、 自筆証書遺言のデメリットを補うことが 可能になりました。 |
● 紙とペンがあればいつでも手軽に作れる
● 費用が掛からない
● 内容を他人に知られなくてすむ
● 手間が余りかからないので、気軽につくりなおせる
● 内容や様式が間違っていて、無効になることがある
● 保管中に紛失したり、万が一のとき遺族に発見されないことがある
● 誰かが内容を書き換えるおそれがある
● 自宅などで保管した場合、家庭裁判所の検認手続きが必要なので、2~3ヶ月程度かかる
実は、法務局で保管することによりこれらのデメリットが解消されるのです。
保管中の紛失や遺族に発見されないおそれ、誰かに内容を書き換えられるおそれについては、法務局における保管制度を利用することで解消されます。また、保管申請時に遺言書の様式が正しいかどうかチェックしてもらえるため、様式不備により無効になるおそれはなくなります。
そして、【法務局における自筆証書遺言書保管制度】利用によって大きく変わる点が、こちらではないでしょうか。
法務局で保管した自筆証書遺言書は、 相続発生後、家庭裁判所で検認を受ける必要がなくなります。 |
自宅に保管した遺言が発見された場合、封を切らずに家庭裁判所で検認を受ける必要があります。これにより相続手続が長引くことになり、ご家族にとっても大きな負担でした。法務局に保管することによりこの手順を省略できるというのは、大きなメリットだと言えるでしょう。
このように、遺言書保管制度を利用することにより、自筆証書遺言のデメリット面が補われるようになりました。
また、公正証書遺言作成には、財産額に応じて公証人へ手数料を支払う必要があります。場合によってはそれが高額になる可能性もあります。
これに対して自筆証書遺言書の保管を法務局に申請する際の手数料は3,900円。
なお、法務局に保管する場合、保管申請時に遺言書の様式が正しいかどうかチェックしてもらえるため、様式不備により無効になるおそれはなくなりますが、遺言内容の有効性についての指導はありませんので注意が必要です。
内容についてご不明な点やご不安な点はございませんか?
財産を受け継ぐご家族のためにも、ぜひこの機会に、自筆証書遺言づくりに取り組んでみませんか?
それぞれの家庭の事情に合わせたアドバイスから、遺言の作成まで、専門家がしっかりとサポートいたします。
サービス内容 | 金額(税抜) |
---|---|
財産目録作成 | 30,000円~ |
自筆証書遺言の作成指導 | 20,000円 |
自筆証書遺言を作ったあと、遺言書の内容面で不安があるときは、「公正証書遺言」に作りなおすと安心です。公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作成し、その際に本人確認も行われるので、その点で遺言書の有効性が問題なることはほとんどありません。また、相続発生後に遺族が家庭裁判所で検認を受ける必要がないのでスムーズに相続手続きを行えます。